親が自宅で孤独死…
その後の手続き

親・身内が孤独死…必要な手続きの流れ
「親や身内の方が亡くなっていました」と警察や大家さんから連絡があった場合、まず何から手をつけたらよいのでしょうか。 ここでは、残された身内がやるべきリストを時系列にまとめています。ぜひ参考にしてください。
早急に手配すべきこと
- 電気や水道など公共料金の名義変更
- クレジットカードや携帯電話の解約
- 厚生年金の手続き
- 健康保険証の返却
- 国民年金・国民健康保険への加入手続き(配偶者が故人の扶養にはいっていた場合)
- 運転免許証の返納(警察署か運転免許センター)
1週間以内
- 死亡届けを役所へ提出
- 役所で埋火葬許可証交付申請
10日以内
- 年金事務所にて年金受給権者死亡届けの提出
- 年金事務所にて加給年金額対象者不該当届けの提出
2週間以内
- 役所にて介護保険・老人医療受給者の手続き
- 世帯主変更届け
- 故人が身体障害者受給者の場合はその手続き
- 自動車を所有していた場合は名義変更や遺産相続の手続き
葬儀を行ってから2年以内
- 葬祭費支給の申請(国民健康保険の加入者は埋葬料が役所から支払われます)
死亡された日から2年以内
- 埋葬費支給の申請(健康保険の加入者)
2年経過すると時効
- 死亡一時金の請求
3年経過すると時効
- 死亡保険の請求手続き
5年経過すると時効
- 遺族基礎年金の請求(子どもがいる配偶者もしくは子どもに支給される)
- 遺族厚生年金の請求(妻・子ども・孫・55歳以上の夫・父母・祖父母に支給される)
- 寡婦(かふ)年金の請求(夫を亡くした妻に支給される)
それぞれ受給するには細かい条件があります。
18歳未満の子どもを扶養していた場合
- ひとり親家庭医療助成の申請(自治体によって異なります)
- 児童手当や児童扶養手当などの申請
- 児童手当を受けていた方は、新たな扶養者の新規認定請求
以上のように、死亡されたあとの手続きは膨大な量で、それぞれ必要な書類や申請場所も異なります。
財産の相続手続きについて
相続人を特定する
財産の相続手続きをするに当たって、まず相続する人を特定する作業が必要となります。そのためには、戸籍謄本などで誰が相続人に当たるのかを特定しなければなりません。通常、相続人は親、子供、兄弟姉妹などが考えられます。
相続人が他にいるケースも
故人の過去に離婚歴があり、その家庭で子供がいた場合はその人が相続人となるかもしれません。身近な家族が把握していない相続人が存在する事もあります。孤独死の場合は家族と疎遠になっている事も多く、その間に結婚や離婚などをしている場合もないとは言い切れません。その事実を確認するために、まずは故人の戸籍謄本を元にして、故人の出生から死亡までの全ての戸籍を収集する必要があります。
また、全ての相続人の現在の戸籍謄本が必要となります。故人の両親が亡くなっている場合は、両親が相続人ではないという証明のため、両親の出生から死亡までの戸籍謄本を取得しなければなりません(両親に再婚歴があり、把握していない子供がいた場合は、その子供も義理の兄弟となるので相続人となる場合もあります)。亡くなった兄弟姉妹がいる場合も、その人が相続人ではない事を証明するための戸籍謄本が必要です。
このように故人の家族関係により収集すべき戸籍の範囲が異なってくるのが少し厄介な点であり、相続人を特定するにはそれなりの労力が必要となります。特に孤独死の場合は把握してない戸籍も存在する事が多いためより大変な場合も多いかもしれません。
相続する財産について
故人が同居していた家族である場合は、相続する財産もある程度は把握しやすいでしょう。しかし、孤独死の場合は故人が所有していた財産の把握が困難となるケースが多く見られます。相続する財産としては、不動産や預金などプラスの要素が思い浮かびますが、借金や負債などのマイナスの財産もあるという事を頭に入れておかなければなりません。
また銀行の通帳や年金手帳、現金などは警察が家宅捜査で一旦回収します。事件性がないと判断されれば戻ってくるため、余程の事態でない限りは後ほど確認が可能です。そのため、これらは比較的把握しやすい財産といえます。
見つけにくい財産
警察にも回収されにくい生命保険の証書や証券会社からの封筒など、簡単には見つかりにくい財産も存在します。また、近年ではインターネット上の銀行に講座などを保有している人もいるため、人によっては全ての財産を把握するのに時間がかかるかもしれません。通帳やキャッシュカードを発行してないのであれば、故人のメールを確認する必要もあります。
孤独死の場合、家族と疎遠になっている事が多く、財産を相続人が把握していない可能性も考慮しなければいけません。故人の家へ行き、手探りで探すことになるでしょう。
また、家で孤独死していた場合は部屋に異臭が染み付いていて捜索が困難になる事や遺品整理の際に誤って処分してしまう可能性もあります。取り返しのつかなくなるような事もあるので、相続手続きの代行業者と連携の取れる遺品整理専門会社に依頼するのも、有効な手段です。
孤独死された方の住居の処分や手続き
葬儀の手配や火葬の準備
孤独死を発見した後は、まず警察に連絡をします。警察は検視や現場検証を行い、事件性がない事を確認した後、遺族へ連絡しましょう。その後、警察による遺体確認を終えてから、葬儀の手配や火葬の準備をします。遺体は自治体や葬儀の社の霊安室へ運ばれるのが一般的です。
しかし、孤独死の場合は遺体の損傷が大きい事が多々あるため、引き取ってすぐに火葬する場合もあります。一般的な葬儀だと火葬する前に行いますが、孤独死だと火葬した後に葬儀を行う可能性が高いでしょう。
火葬は住民登録してある自治体で行うほうが、費用を抑えられます。一方、住民登録をしていない他の地域で行うと、搬送費用がかかり割高になるかもしれません。火葬の際には死亡届の提出が必要で、通常では葬儀社が提出を代行してくれる事があります。孤独死の場合だと、その人が住んでいた住居の管理人が出す可能性もあるでしょう。
葬儀自体は、一般的な葬儀と同様に喪主を立てて行います。まずは早急に葬儀社を探して相談すると良いでしょう。
清掃業者への依頼
孤独死の場合、問題となるのは故人が亡くなった部屋の清掃です。人は死亡すると、夏場では4~5日、冬場で7~10日ほどで腐敗が進みます。孤独死の場合は発見が遅れて腐敗が進んでいるケースが多いため、強烈な臭いや体液などのシミ、害虫の大量発生などが生じていることも少なくありません。室内の悪臭、腐敗臭は尋常なものではなく、通常の清掃では歯が立たないでしょう。
そのため、特殊な専門の清掃業者による清掃が必要となります。特殊清掃は専門の技術と特殊な薬剤を使用するため、その分料金がかかると覚えておきましょう。
また、賃貸で亡くなっていた場合、速やかに部屋を明け渡さなければいけません。警察による家宅捜査が終わって許可を得たら、早急に清掃業者へ依頼するようにしましょう。持ち家の場合でも近隣住民への影響を考慮して、早急に対応しなければいけません。業者へ依頼をした後は部屋のチェックを行ってもらい、シミや汚れの程度、遺品の量などを確認してもらいます。清掃を終える期間や金額などもしっかりと話し合っておきましょう。この際、遺族の精神的負担を考慮するため、遺族が直接室内に出向いてチェックする必要はありません。
個人名義の変更や解約手続き
故人が契約していたものについては、名義変更や解約手続きが必要です。ですが名義変更や解約をする場合には、それが相続財産であるのか、未精算や残債があるのかどうかによって手続きの内容も異なってきます。
預金通帳は相続財産となるため、死亡届の受理から相続先が決まるまで凍結されてしまいます。相続人が決まれば、名義変更の手続きが可能です。故人が所有していたクレジットカードは解約して破棄しなければならず、未精算や返済が残っていれば相続人が返済していなかければなりません。その他にも自動車所有権や不動産所有権、株主所有権などは相続人が決まるまで名義変更が出来ないものに含まれます。
孤独死の場合は遺言書がないケースが多いため、まずは相続人同士で話し合いを行い、相続を確定しましょう。
その他公共料金や携帯電話、固定電話にインターネットなど名義変更や解約手続きをしなければならないものは数多くあるため、まずは故人の状況を把握する事が必要となります。
遺品を整理する
孤独死した部屋の清掃と合わせて、生活に使用していたものや私物などの遺品を整理しなければなりません。遺品とは亡くなった人が残したもの全てを指します。遺産と混同しやすいですが、遺産と遺品との違いは財産的換金ができるかどうかで判断可能です。遺品整理では故人が残したものの中から、相続人で分配すべき「遺産」と分配する必要のない「遺品」とに分別します。
遺品の整理をする事によって故人への悲しみが深まるという事もありますが、改めて故人も向き合えたり、気持ちを切り替えたりするきっかけにもなるでしょう。
時間が経って発見された孤独死だと、部屋に死臭が漂っていたり、シミが残っていたりと自分たちだけで遺品整理を行うのはかなり困難な状況です。まずは特殊清掃業者に依頼して部屋を清掃する事が先決となります。
また遺品にも死臭がしみついてしまっている事もあるため、遺品整理も専門の業者に依頼する事が望ましいでしょう。遺品整理には決められた期間があるわけではないので、心の整理がついて葬儀など一連の行事が済んでから行う事が多いです。しかし、故人が住んでいた家が借家やアパートであれば、退去しなければならないため、早急に遺品整理をする必要があります。
孤独死の場合、住宅は事故物件になってしまう
「事故物件」や「訳あり物件」といった言葉を聞いたことはありますか?
事故物件にもさまざまなケースがあり、自殺や殺人事件、雨漏りやシロアリなどの被害にあった物件のことをいいます。
他にも、再建築不可物件や、近所に墓地や暴力団の事務所があるなどのマイナス要因があるものは事故物件として扱われます。
残念ながら「孤独死」も事故物件あつかいとなり、一般的な不動産会社からは嫌がられる傾向にあります。
事故物件を早急に手放したいという方には「事故物件専門」の不動産会社をおすすめします。審査から契約までのスピードが早く、即現金化されるなどのメリットが豊富です。また告知義務や納税義務も全て引き取ってもらえますので、相続された方の負担もなくなります。