孤独死の場合、葬儀の進め方は異なる?

身内が亡くなった場合の、葬儀までの手続きの流れ
まずは、一般的な葬儀までの流れをご説明いたします。ご遺体が傷んでいる(孤独死)場合の葬儀と、変わらない部分と異なる部分がそれぞれあるかと思います。
ご臨終〜納棺
医師による死亡確認がとれたら「死亡診断書」を書いてもらいます。すぐに葬儀社へ連絡をして寝台車を手配しましょう。病院から自宅や斎場などの安置場所へ移送し納棺します。
また身内や知人への連絡も忘れずにおこなってください。
お通夜
お供え物やお花、料理やお酒の手配をします。また受付の設置や返礼品も事前に準備が必要です。
僧侶による読経をしてもらいながら、順番(喪主・遺族・一般参列者)に焼香をします。
読経が終わったら喪主が参列者へお礼をし、僧侶が退席して閉式になります。
お葬式
一般的には葬儀社の方が司会進行役をするので、その通りに進めていきます。読経が始まったらお通夜のときと同じように焼香をし、閉式という流れです。用意されたお花をお棺にいれながら、個人に最後のお別れをしましょう。火葬場に着くと最後の読経があり火葬されます。
火葬が終わると参列者は退出しますが、親族は火葬場にのこり遺骨をツボに収めてからお墓やお寺に移動することになります。
孤独死・自殺等でご遺体が傷んでいる場合の葬儀の進め方
死化粧やエンゼルケアについて
通常の葬儀では、葬儀社や病院の看護師により死化粧やエンゼルケアが行われます。ご遺体を清めて髪や顔などの身だしなみを整え、故人を送りだすための儀式のようなものです。
しかし孤独死や自殺の場合は発見が遅れ、ご遺体が傷んでいることが多くみられます。そのため親族らが遺体を引き取ったらすぐに火葬し、お骨の状態で自宅に連れて帰るケースが一般的です。
家族葬でひっそりと
葬儀については、特殊な亡くなり方をした場合でも、通常の葬儀と同じように執り行われます。どのような葬儀プランにするかは、予算を決めて家族や親族が決定。孤独死や自殺などの場合は、家族だけの「家族葬」や親族だけの「密葬」でひっそりと執り行うケースも増えつつあるようです。
また故人に友人・知人がほとんどいない場合は、お通夜や告別式を行わない「直葬」だけで済ませるケースも。直葬は火葬のみになるので、家族や親族だけといった少人数で行われることがほとんどです。
もし孤独死した人を発見したら
もしも孤独死している人を発見した場合、例え身内であったとしても警察に連絡しましょう。事件性があるかないかは、発見者が判断することではなく、警察が判断することです。孤独死を発見するシチュエーションとしては、腐敗したことで放つ匂いで近隣住民が気付いたり、あるいは家族が訪問した際に気付いたりというケースがあります。いずれにせよ、自分であれこれ判断するのではなく、警察を呼びましょう。
警察を呼ぶ際の注意点として、周辺をむやみに触ってはいけません。先に事件性の有無は警察が判断するものだとお伝えしましたが、周辺を弄ると警察の状況判断が難しくなります。事件性があった場合、周辺をむやみやたらに弄ると、そのような意図がなかったとしても結果的に「証拠隠滅」となってしまうかもしれません。
警察による現場検証
連絡を受けた警察は現場検証を行います。ドラマや映画等のイメージで、現場検証=疑われていると思う方もいるようですが、実際ははどのような状況なのかを確認するためのものです。決して疑っているから現場検証を行っている訳ではありません。事件性の有無を確認するため、どのような状況であれ、警察は必ず現場検証を行います。
また、孤独死の場合は警察が介入してくるケースもあります。介入される遺族としては、疑われているのではとの憤りを感じるかもしれません。ですが、警察の介入は決して疑っているからではなく、事件性や死因を特定するため確認を行います。一般的に病院で亡くなられた場合、それまでのカルテや状況等から死因の特定は容易です。事件性もないので、警察が介入する必要がありません。
しかし、孤独死の場合、状況次第では何も分からない状態となります。警察としても老衰によるもので事件性がないのか、あるいは事件性のあるものなのか、すぐには断定できません。
状況次第では不愉快に思うことでしょう。しかし、警察側としても疑っているのではなく、あくまでも真実を知るためのものです。むしろやましいことがないのであれば、積極的に協力した方が警察の介入や捜査もすぐに終了するでしょう。
警察による遺族への連絡
孤独死の発見者が遺族ではない場合、現場検証にて死亡者の身元が判明したら、警察は遺族に連絡を入れます。事件性がないと分かれば警察側としても遺体を確保しておく必要もありません。遺族に渡すことになるのですが、実は孤独死では遺族が見つからないケースも珍しくありません。
また、遺族を見つけられたとしても、遺族側が遺体の受け取りを拒否することもあります。遺族ではあってもそこまで近い親族ではないケースや、いきなり遺体を引き取れと言われても、引き取る準備ができていなければ断られるかもしれません。言われた側としてもどうすれば良いのか分からず、結果的に「拒否」のような形になってしまうケースがあります。
この場合、警察側としても強引に受け取らせることはできません。結果として、「行旅死亡人」として扱われることになります。無縁仏にて埋葬されることになりますが、遺族がいない、あるいは受け取りを拒否している以上、このような形にせざるを得ません。
このようなケースがあることを踏まえると、連絡先を常に知らせておくか、あるいは高齢者の自宅に連絡先を置いておくなどして「もしも」に備えることが大切です。遺族が遺体を引き取るつもりがあったとしても、孤独死した方が連絡先を持っておらず、身元もなかなか断定できない場合、「行旅死亡人」として扱われてしまうケースもあります。
遺族が遺体を引き取った際
遺族が遺体を引き取った後、葬儀をどのように行うのかは全ては遺族次第です。ただし、遺体は腐敗してしまうので、ある程度迅速な対応が求められます。物理的にスペースが必要になりますし、いくら親族ではあっても遺体がいつまでも自宅に置かれたままの状況は決して好ましいものではないでしょう。これらの事情を鑑みると、現実的には葬儀屋への連絡が現実的にして唯一の方法となります。
葬儀屋への連絡を躊躇する人もいるかもしれません。理由が理由なだけに、果たして葬儀屋は引き受けてくれるのかという不安を持つ方もいるでしょう。ですが、今後のことも考えると、早めに相談した方がよいでしょう。
遺族に高額な費用が請求されるケースも
孤独死は解決しなければならない問題が多々ありますが、孤独死の「現場」でもある家もまた、大きな問題に直面することになります。賃貸物件の場合は保証人が、分譲の場合には相続人が現状回復の責任を負わなければなりません。分譲の場合、一応は自分自身のものではありますが、問題は賃貸です。
賃貸の場合、借り物です。さらに、孤独死されてしまった物件のオーナー側としては、部屋の清掃をしなければならず、イメージもダウンしてしまいます。再び物件を賃貸に出す際、「孤独死があった物件」となればなかなか借り手もつかなくなるためです。孤独死が起こった部屋だけでなく、マンション全体の評価にも関わるため、オーナーにとって大きな損害と言えます。
清掃費が数百万になる可能性もある
壁紙が汚れている、物が壊れているなどの破損した部分を修繕する一般的な原状回復と違い、孤独死は特殊清掃を行わなければいけません。
部屋の修復やリフォーム、さらにはオゾン脱臭や薬剤による消臭など、通常の退去時の原状回復・清掃よりも手間がかかるため費用も高くなります。日本少額短期保険協会による「第3回孤独死現状レポート」によると、孤独死の場合、原状回復費用とゴミ等の残置物処理費用を合算すると、平均で60万円程度です。
しかし、中には数百万円ほどかかるケースもあります。その理由として、リフォームではなく、フルリフォームによる原状回復工事を請求されるケースがあるからです。どのような事情であれ、家主としては「孤独死のあった家」というイメージは良いものではありません。
業者指定だとさらに高い費用が掛かるかもしれない
事故物件については次の住人に伝える義務があるので、新しい住人もそのことは分かったうえで入居を検討してくれるでしょう。しかし、臭いや痕が残っていると入居をキャンセルされる可能性があります。次の住人を見つけるため、結果としてフルリフォームになると、負担が大きくなってしまうのが難点です。また、ブランド化されている物件の場合、ただ単にリフォームするだけではなく、業者が指定されているケースもあります。その場合、業者への依頼費用も高いと予想できるため、オーナー側としても金銭的負担を減らしたいという心情があるでしょう。
オーナーは保険に入っておくことで負担を軽減できる
ただ、遺族が連帯保証人でない場合、相続放棄をすることで遺族は原状回復費の債務を支払わなくて済みます。そうなると、オーナーが遺品整理や支払いなどをしなければいけません。
30代で孤独死する方もいる現代で、「お年寄りは入居していないから大丈夫だろう」という考えではいざという時の対応が遅れてしまいます。孤独死のような事例に対しては、オーナーが加入できる保険で事前に備えておくことが大切です。家賃損失に備えられる、遺品整理や原状回復費用を補償してもらうことで
孤独死・自殺のあった住宅について
身内が孤独死などで発見されると、葬儀や行政の手続きで他に手がまわらなくなりがちです。しかし遺体があった部屋は1日でも早く特殊清掃をしなければなりません。異臭や体液は日に日に進行し、清掃費用も高くなっていきます。特殊清掃はかなりの費用がかかり、ご遺族の経済的負担になることも。
残された住居に住むということでなければ、結果的に売却などで手放すことになります。それなら、事故物件を扱う専門業者への依頼を検討すると良いでしょう。
業者によっては、痕跡の清掃や家財道具などの遺品がそのままでも、早期に解決させることが可能です。