事故物件を売却するには

不動産の売り方には、大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類があります。「仲介」は不動産会社などが間に入って、売主を見つける不動産の売り方で、「売却」と呼ぶこともあります。「買取」は売主ではなく不動産会社そのものがあなたの物件を買取る方法です。「売却」は売主を見つける高く売れる可能性のある半面、売れるまでに時間と費用が掛かる場合があります。
事故物件の売却(仲介)は可能?
- 不動産会社に問い合わせをして売却依頼をする
- 心理的瑕疵をできるだけ緩和させてから売却する
告知義務があるので、事故物件である事実を隠して売却はできません。
また、不動産会社は事故物件の場合、積極的に売却に応じてくれず、中には査定すら受け付けてくれないこともあります。事故物件をできるだけ不動産会社に売却したいのであれば、リフォームや特殊清掃を実施したり、物件だけ取り壊して土地だけ売却したりなど、事前に対処してから相談するといいかもしれません。事件発生からある程度時間を置き、心理的瑕疵を和らげるのも1つの方法です。
事故物件の売却(仲介)を受け付ける可能性のある不動産会社
事故物件を売却(仲介)できる不動産会社は、現状でほとんどありません。大々的に「事故物件でも売却対応します」とは告知しにくいのも現実です。
しかし、リフォーム再販をしている3つの大手不動産会社であれば、問い合わせをしてみると売却対応してくれる可能性はあります。不動産の「再販」という実績を持ち、どのような条件の住宅でも売り物にできるノウハウを持っているためです。
以下では、リフォーム・再販ができる大手の不動産会社をピックアップして紹介しています。
三井不動産リアルティ
東京都新宿区に本社を構える三井不動産リアルティ。グループ会社である三井不動産リフォームとすまいサポートの連携を強化しているため、対象事故物件が三井不動産取り扱い物件の場合、売却に対応してくれるかもしれません。物件の改修は三井不動産リフォーム、工事はすまいサポートが担当。リフォーム時は女性建築士が設計を担当するので、きめ細かい視点を生かして物件を再生してくれるかもしれません。
住友不動産販売
東京都新宿区に本社を構える住友不動産は、新築そっくりさんと提携をしています。新築そっくりさんは、住友不動産の主力リフォーム事業。家の構造はそのままにして、中身を一新させるので、築年数が経過した家の設備や内装のリフォームニーズが多い会社です。事故物件でも中身を一新させて、次の住み手が快適に暮らせるようにサポートしてくれるかもしれません。
東急リバブル
東京都港区に本社を構える東急リバブルは、独自のリフォーム戦略が好評。中古住宅を購入した人に対してグループ会社の東急ホームズや提携するリフォーム会社を紹介しています。水回り工事をLIXILと提携。パック料金を打ち出すなどの事業展開もしています。リフォーム事業に積極的に取り組み、中古住宅を取り扱っているため、もしかしたら状態によっては、事故物件を中古住宅として売却に対応してくれるかもしれません。
「売却」と「買取」の違い
売却(仲介):買主は個人。不動産市場の相場価格で物件を売却できるが、仲介手数料が発生する。
買取:買主は不動産会社。売却と比べて売却価格は低めの設定。しかし仲介手数料は発生しない。
売却と買取は、そもそも対象としている買主に違いがあります。買主の対象が違うので、物件を売却や買取するまでの手続きが違いますが、早急に解決できるのは、買取でしょう。これは不動産会社が直接物件を買ってくれるので、わずらわしい手続きや条件交渉なども省略できるからです。しかし価格面だけを重視すると、圧倒的に売却の方が良い値段が付きます。最終的に手元に入るお金を考慮すると、売却の方が条件はいいかもしれません。しかし、これは一般的な不動産の場合です。事故物件を売るときは、買取方式を推奨します。
事故物件を処分するなら「買取」がいい理由~これでもあなたは「売却」したいですか?~
一般的な不動産の場合は、売却の方が良いでしょう。しかし、事故物件の場合は買取を利用する方がメリットを感じられます。
- 不動産会社が買主だから、早期解決できる
- ご近所に知られずに事故物件を対処できる
- 内覧なしで現地確認をして買取してくれる
事故物件を持つあなたは、住宅を高く売りたいのか、早く解決させたいのかどちらでしょうか。
売却仲介なら、高く売れる可能性はありますが、こと事故物件においては通常の住宅よりも売り手を見つけることが難しくなります。そして売り物として整えるために遺品の整理やリフォームをするなら、この費用は売主であるあなたの負担となります。
買い主が見つかったとしても、結局そこも不動産会社だった、ということもよくあるケースです。これなら、はじめからその不動産屋に買取を依頼していれば、仲介手数料がいたずらに発生することもありません。
また、仲介を利用した売却の場合、ネットや広告を使って売り物件を告知・販売活動をしますが、買取は不動産会社が直接対応。広告はもちろん出さないので、周りに売却していることを知られずに済みます。
トラブルのリスクを抑えられる
事故物件を売却する場合、心理的瑕疵(自殺や他殺など)に関する訴えがあるかもしれないとい不安があります。また伝え漏れがあった場合、その後のトラブルのリスクも考えられるのが懸念点です。事故物件買取実績の多い業者であれば、事故物件を活用するためのノウハウを持っているため、心理的瑕疵についても相談しやすいでしょう。
現金化しやすい
業者との取引で行う買取の場合、事故物件の買取が可能か、値段はいくらかという2つの問題を解決することが基本条件となります。売却の場合は買い手が見つかるまでかなりの時間を要することも多く、その間お金も入らず、先行きも不安になるでしょう。買取であれば買い手が見つかるまで待つ必要がなく、スムーズな現金化も期待できます。
売却を選んでも、高く売れるとは限らない
一般的な不動産会社は、事故物件の買取を引き受けてくれないケースが多く、問い合わせをした段階で拒否されることがあります。
運良く売却対応をしてくれたとしても、高く売れるとは限りません。事故物件というだけで、相場価格よりも大幅に下回るからです。むしろ、値段をつけて売却対応してもらえるだけマシでしょう。
一方買取の場合、事故物件を専門的に対応している業者がいます。買取のため、仲介手数料も発生せず、リフォームはもちろん遺品整理や清掃すら必要なくそのまま買取ができる業者もあります。
一般的な市場価格よりは下回りますが、それなりに値段が付くでしょう。さらに買取業者の中には、査定後24時間以内に即時入金に対応している会社もあります。買取業者は事故物件を早く売却したい人や、できるだけ早く現金化したい人のニーズにも応えてくれるのです。